美しく手間いらずなインテリアとして人気のドライフラワーやプリザーブドフラワー。しかし、ペットを飼っている家庭では「花ってペットにとって安全なの?」という不安を感じる方も少なくありません。
実際、ドライフラワーには注意すべき点がありますが、正しい知識と適切な対策を講じれば、ペットと共に安心して楽しむことができます。
本記事では、ペットと安全に暮らすためのポイントをわかりやすく解説します。
ドライフラワーは本物の植物を乾燥させて作られており、香りや色が残ることから、ペットが興味を示しやすいアイテムです。特に犬や猫は、口に入れて噛んだり飲み込んだりする可能性があるため、誤飲には十分な注意が必要です。
完全に乾燥していないものや粗雑に加工されたドライフラワーには、微量の花粉が残っていることがあります。犬や猫の中には花粉アレルギーを持つ子もおり、くしゃみ、目の充血、皮膚トラブルなどを引き起こす可能性があります。
プリザーブドフラワーには保存液や染料などの化学処理が施されています。一部製品にはこれらをペットが舐めたり噛んだりすると、中毒症状を引き起こす恐れがあります。加工された花材には潜在的なリスクがあることを理解し、注意が必要です。
ドライフラワーに加工されやすい植物の中には、ペットにとって有害なものもあります。以下の植物は、ペットが少量でも口にすると健康被害を引き起こす恐れがあるため、ペットと暮らす家庭では使用を避けるべきです。
・アジサイ:見た目の美しさから人気ですが、摂取すると嘔吐・下痢・呼吸困難を引き起こし、重症化すると命に関わる恐れがあります。
・デルフィニウム:青紫系のドライフラワーとして人気ですが、強い毒性を持ち、少量の摂取でも神経や心臓に影響を及ぼす可能性があります。
・ユーカリ:清涼感のある香りと銀葉の見た目で定番ですが、精油成分が強く、摂取により嘔吐・下痢・神経症状を起こすことがあります。猫や小型犬には特に危険です。
・スイートピー:可憐な花姿が特徴ですが、種・花・茎に神経毒性のある成分を含み、継続摂取により運動障害を引き起こすことがあります。
・ナンテン(南天):赤い実が美しく、正月飾りにも使われますが、アルカロイド系の毒素により嘔吐・下痢・神経症状を起こします。特に小動物には有害です。
・ユリ科植物全般:猫にとっては極めて危険で、花粉を少し舐めただけでも腎不全を引き起こし、命に関わる恐れがあります。アリウム(ネギ坊主)も同様に注意が必要です。
完全に無害な植物は存在しませんが、以下の植物は比較的毒性が低いとされています。ただし、設置場所には十分注意し、ペットが直接触れないようにしましょう。
・ヒマワリ:犬や猫にとって毒性は低いとされています。
・マリーゴールド:比較的安全性が高いとされています。
・スターチス(リモニウム):一般的に毒性は低いとされています。
・ペットが届かない高い棚や壁に飾る
・ペット立ち入り禁止の部屋に設置する
・安定した場所に配置し、落下防止対策を徹底
・猫は高所に登るため、密閉可能なケースや収納場所を活用する
・ガラスドームやアクリルケースで覆う
・壁掛け型にしてペットの手が届かない位置に設置
・揺れにくい吊り下げ式を活用
・比較的安全な植物のみを選ぶ
・種子や細かい破片が落ちやすい花材は避ける
・トゲのある枝や尖った装飾は使用しない
・ワイヤーや接着剤など人工素材にも注意を払う
・噛む・舐める・引っ張るといった行動に注意
・大型犬は高所にも手が届く可能性あり
・若い犬や好奇心旺盛な犬種は特に注意が必要
・高所に登れるため、設置場所選びが重要
・ユリ科植物は絶対に避ける(命に関わる)
・小さな破片の誤飲にも注意
・夜間の活動にも備えた工夫が必要
・落ちた花びらや破片を食べる可能性が高い
・ケージ内には絶対に置かない
・噛む習性があるため、ケージ周辺への設置も避ける
・体が小さいため、中毒症状が重篤化しやすい
・呼吸器が敏感なため、香りの強い植物は避ける
・小さな破片の誤飲リスクに注意
・温度や湿度管理との兼ね合いも考慮が必要
自分でドライフラワーを作る場合は、以下の点に注意しましょう。
・有毒植物の使用回避:上記に挙げた危険植物は絶対に使わない
・乾燥中の管理:吊るす際も、ペットが触れられない場所を選ぶ
・防虫処理剤の選択:使用する際は成分を確認し、ペットに無害なものを選ぶ
・作業後の清掃:花びらや葉の破片が床に落ちていないか徹底的に確認
ペットが有毒植物を摂取した疑いがある場合は、すぐに以下の行動を取りましょう。
・ペットの口の中を確認し、残った植物片があれば除去
・摂取した植物の種類や量を可能な限り把握
・嘔吐・下痢・よだれ・ふらつき・呼吸困難などの症状を観察
・無理に吐かせようとする
・牛乳や水を大量に与える
・様子見をして放置する
摂取が疑われる場合は、症状が出ていなくてもすぐに獣医師へ連絡してください。特にユリ科植物の場合は、すぐに対応しないと命に関わる場合があります 。
ドライフラワーやプリザーブドフラワーは魅力的なインテリアですが、ペットの安全を第一に考える必要があります。「少しの注意」では不十分であり、徹底した対策と継続的な配慮が求められます。
ペットの種類や性格を理解し、リスクを最小限に抑える工夫を重ねることで、美しい花のある暮らしとペットとの共存を両立することができます。不安がある場合は、造花やペット専用の装飾品を活用するのも一つの方法です。